序章

33/33
前へ
/713ページ
次へ
クラウスはグラス越しに床に散らばる血濡れた塊を眺めた。 一番近くにある塊には、金色の糸がぐしゃぐしゃに絡まっている。 椅子を軋ませた拍子にごろ、と転がってきたそれを、クラウスは無造作に蹴り飛ばした。 「テオドラさんよオ、あんたの息子、あんたの嫌なとこそっくりうけついでるぜえ」 雨のせいで不気味な暗さが、部屋を覆う。クラウスはどんよりとした空を見上げた。 雨が、一層強く降り始めた。  
/713ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7606人が本棚に入れています
本棚に追加