終幕。或いは新たなる開幕。

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 ~ある昔の話~ 「すべてが終わったら、君にすべてを伝えよう。だから、それまで楽しみに待っていて。必ず、この場所に戻ってくるよ」 と、告げたあの人が、この白く狭い場所から去っていってから、永い永い時間が過ぎていった。私は、あの人が戻ってくるのを楽しみに待っていた。その楽しみに比べたら、どんな痛みや苦しみも全く辛くは無かった。 あの人が帰ってくるときいたとき、私が今まで感じたことのないほどの大きな歓喜が、私の内側を駆け巡った。 私の人生の中であれ以上の喜びは無いと確信できるほどの快感だった。 それほどまでに私にとって、あの人の帰還は待ち望んでいたことだった。  しかし私はあの人からすべてを伝えてもらうことは無かった。それどころか、何一つとして伝えてもらうことはなかった。何故なら…。  いや、これ以上は語るまい。唯一ついえることは、ここで私の物語は一つ終わったということだ。しかし、この終わりは新たな始まりでもあった。ここから始まるのは、真実を探す者とその仲間の話だ。話を始める前に仲間を紹介したいと思う。まずは勇敢な彼から紹介しよう思う。あれはまだ桜が咲いていた頃のことで…。
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