1.出会いはいつも突然に

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 僕は自分のことを平凡な人間だと自覚している。何かに優れているわけではないし、運が良いわけでもない。それでも、昔から友達には「おまえは普通ではないよ」と言われてきている。そのことは高校生になった現在でも変わらない。  桜の花が爛漫と咲き誇る爽やかな朝、桜など見ている余裕もないくらい僕は急いでいた。高校生が急ぐ理由なんてものは、『遅刻』か『不良に追われている』くらいなものだろう。今日の僕は前者の理由で急いでいるわけだが、転校初日から遅れるなんていうのは何だかグダグダ感がある気がするね。などとどうでもいいことをを考えているうちに学校が見えてきた。四方が畑で囲まれていてコンビニはおろか民家も数件しかない。長閑で何もないところだ。けれども、勉強をする場所はこれくらいの方が良いと僕は思う。これから通う学校の印象を思い浮かべつつ腕時計を見る。どうやら間に合いそうだ。
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