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180センチを凌駕する長身。
すっきりと引き締まった体躯。
野獣の鬣を彷彿とさせる黒毛混じりの金髪。
18歳の年齢に相応しい精悍な顔付き。
見た目は、血気盛んな不良めいた男だ。
だが、彼には村人達を怖がらせるのに十分な物を二つ持っていたのだ。
一番目を引いたのが、右肩から左腰にかけて貫く巨大な剣だった。
峰は真っすぐに切っ先まで伸びているが、刃はそこに向かってだんだんと広がっている、ファルシオンと呼ばれる部類の剣だ。
しかし、その鍔には黒塗りされた本物の頭蓋骨があった。
柄にも握り拳の骨。峰もよく見ると大腿骨らしきものが見える。
それは、人骨で創られた剣だった。
それと、もう一つ。
彼が羽織るもの。
踵まで到達する裾を宿した真紅のロングコートだ。
彼はその袖を二の腕まで折り、代わりに、肘まで覆う篭手を装着していた。
実はこのコートこそが、彼が今いるこの地、アンゼリカ連合王国に住む人間達にとって、彼があるまじき存在だという事を示していたのである。
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