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一人の村人が叫んだ。
「え、炎獣だ! 髑髏の炎獣!! ヴァルツァー・S・ジェメキス!!!」
それが口火となり、村人達が一斉に叫び出す。
「ジェメキスって、まさかミティス・デビル教団の騎士団の…」
「最強のキャリアーと呼ばれる、あのジェメキスか?!」
「この村に、一体何の用で来たんだ!」
村人達のパニックは、最高潮にまで発展していく。
「………あァ!? んだてめえら。俺の事知ってたんかよ」
ジェメキスの一声で、村中が凍り付いたように動かなくなった。
震える村人達を、ジェメキスは改めて一瞥する。
目が合った村人が、ヒッと身を縮こませ、その場に座り込んだ。
「俺の事知ってんなら話は早ぇ。俺今人探ししてんだ。とにかく、強くてやばくてとんでもねえって噂の女なんだが、誰か知らねえか?」
村人達は、黙ったままだった。
「んだよてめえら。バックレようってのか? この村にいるってのは間違いねえんだが………ッ!」
次の瞬間、ジェメキスはのけ反るように後退した。
ジェメキスの前方を、鋭利な三日月型の風の刃が通り過ぎたのだ。
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