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「な、何しやがんだ!!!」
ジェメキスが風の出所を見ると、そこにいたのは、兜を付けずに鎧を着込んだ、気障っぽい男だった。
男が手にするサーベルから、小さな粒子が硝煙のようにたなびいている。
男は、サーベルの切っ先をジェメキスの喉元に向け、片方の手でボリューム感溢れる金髪をかきあげた。
「ごきげんよう。下賎なキャリアーめ。
我こそは、アンゼリカ連合王国騎士にして、この地域を治めしミーツ家一族の長子、ミーツ・リディだ。
何の用でこの地に来たのかは知らぬが、痛い目に会いたくなければ、大人しく立ち去ることを奨めるぞ?」
切っ先に揺らぎはない。
何の脈絡もなく現れた奴だが、おそらく相当の実力を有している者だという事には違いない。
「いいところに来てくれた、アンゼリカの騎士!! そのまま、そいつの頭をぶった切ってやれ!!!」
村人の誰かが叫んだ。
これが契機となって、他の村人達も一斉にリディを応援しだす。
またある者はジェメキスに罵詈雑言を浴びせ掛ける。
恐怖に固まっていた村人達が、急にリディとジェメキスを囲むように集まり出していた。
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