966人が本棚に入れています
本棚に追加
リディが喚起の表情で両腕を翼のように広げ、侮蔑の笑みを浮かべる。
「見たまえ。この状況を。今村人どもは、この私に聖なるエールを投げ掛けてくれる。力が、力が沸き上がってくるようだ。
だが、反対に君はどうだね？ 村人どもからは、冷水のごとき罵声のシャワーだ。不敏なものだねえ。え？ 下賎なキャリアーよ」
………コイツよく喋んな～。
それしかジェメキスは思っていなかった。
村人達に対してもそうだった。
彼等は、常人ならば必ず心を傷付けられるような汚い言葉の濁流を、平気でどぱどぱ吐き散らかしている。
だが、それがどうした？
ジェメキスには、そんな事をしている者達が卑しく見えて仕方がない。
まるで、貴族が平民を見ているような気分になる。
怒りを覚えることもなく、悲しみを感じることもなく、ただ、それらを見下したい気分になるのだ。
最初のコメントを投稿しよう！