第1章1話 マリアーナ.

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「先生?色んな物に魔法をか  けてからどうしたの?」 彼はファッジ。 ダンと同じ10歳だが、性格がまるで違う。 「人間に送ったんだよ。」 私の答えは、彼の質問の的を射ていないらしい。 首を振りながら続ける。 「ううん、その後。送ってど  うしたの?送るって事は…  プレゼントでしょ?人間は  嬉しくなかったの?」 私にはこの純粋な子供の質問が、胸に突き刺さる瞬間がある。 何処まで答えて良いのか判らないからだ。 大人の真実は汚い物が多い。 私の言葉で子供の心を汚してしまうのではないかと、急に臆病になる瞬間なのだ。 「…先生?」 特にこの子、ファッジは純粋だ。 「魔法はね、嬉しい事も嫌な  事も出来るんだ。この時、  人間に送ったのは嫌な事だ  ったんだ。」 「どうして?」 あー、何と言えば良いのだ… 「戦争なんだぜ!喜ぶ訳ねー  じゃん!」 ダンは悪ガキだが、いつも私が言葉を詰まらせると代わりに子供の相手をしてくれる。 やはり、子供に子供、なのだろうか。
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