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「先生?色んな物に魔法をか
けてからどうしたの?」
彼はファッジ。
ダンと同じ10歳だが、性格がまるで違う。
「人間に送ったんだよ。」
私の答えは、彼の質問の的を射ていないらしい。
首を振りながら続ける。
「ううん、その後。送ってど
うしたの?送るって事は…
プレゼントでしょ?人間は
嬉しくなかったの?」
私にはこの純粋な子供の質問が、胸に突き刺さる瞬間がある。
何処まで答えて良いのか判らないからだ。
大人の真実は汚い物が多い。
私の言葉で子供の心を汚してしまうのではないかと、急に臆病になる瞬間なのだ。
「…先生?」
特にこの子、ファッジは純粋だ。
「魔法はね、嬉しい事も嫌な
事も出来るんだ。この時、
人間に送ったのは嫌な事だ
ったんだ。」
「どうして?」
あー、何と言えば良いのだ…
「戦争なんだぜ!喜ぶ訳ねー
じゃん!」
ダンは悪ガキだが、いつも私が言葉を詰まらせると代わりに子供の相手をしてくれる。
やはり、子供に子供、なのだろうか。
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