第1章1話 マリアーナ.

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「ここから遥か北、服飾で有  名なイグロス城に行ったと  言われているよ。」 ナタリーが無言で頷いた。 疑問は片付いたようだ。 「あっ!!」 誰かが叫びながら立ち上がった。 ダンだ。 「どうした?」 「オレ、オレ…気付いちゃっ  たぜ!先生の本と先生の話  、どっちか嘘吐いてる!」 ダンが大発見の発表すると、教室中がどよめいた。 「先生って嘘つきなの?」 「んな訳ねーよ。」 「持ってる本が変なんだろ?」 「何でそう言い切れるの?」 こういうやり取りを見ていると、全員が私の味方ではない事がハッキリ判る。 …私もまだまだだな(笑) 「静かに!静かに!!ダンはま  だ言い終わってないぞ!」 少しずつ静かになりやがて静まり返って、ダンに皆の視線が注がれる。 「何に気付いたのか、皆に教  えてもらえないか?」 ダンの顔が得意気な笑みに染まる。 「先生は数えないって言った  のに、本は『1日50人』っ  て数えてる!」 「おや、本当だ。」 恥ずかしながら、10歳の子供に指摘されるまで気付かなかった。 数を…数えている? この時代の文明が?
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