第1章1話 マリアーナ.

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そんなことをしている間に陽は落ちて、すっかり夜になっていた。 昼休みにあれこれ抜け出す方法を考えていたが、1つも実行しないまま夜になってしまった。 おまけに荷物さえ用意していない。 しかし、諦めるつもりはなかった。 普段愛用している鞄にラッツォの日記と食料を入れ、ベルトに付けた小さな革袋に充分な金が入っていることを確かめる。 ここに戻ってくることは二度とないだろう。 金庫の中身も予備の大きめの革袋に入れて持って行こう。 さすがにベルトに2つ付けるのは物騒なので、大きい方は鞄の中へ。 後は着替えが数枚と地図あれば充分だ。 私は無断で城を出るのだ。 逃亡者に大荷物は似合わない。
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