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城下街の門を出て30分ほど歩いた頃だろうか。
学校の仕事を真面目にこなしてきた日々を思い返しながら、商人の馬車が作った道を歩いていた。
ふと上を見上げると、綺麗な満月が見えた。
(城の関係者は私を追ってくるだろうか…)
何故か、月を見ていたら急にそんな考えが浮かんできた。
(…まさか。
誰に見つかることもなく出てこれたじゃないか。)
その言葉で、自分に言い聞かせた。
…焦る理由など何処にも無い
…焦る意味も無い、と。
しかし、その行為こそ、どうしようもなく焦っている証拠であった。
気が付くと、来ないかもしれない追っ手に怯え、慌てて鞄から地図を引っ張り出していた。
カラギ平原はS字型の緩やかなカーブを描いており、イグロスとヴァン・ダリアを一直線で結ぶとカラギ平原を通る時に比べて1/3程度の距離に縮まる。
しかし、真っすぐ進もうとすると険しい山道を歩かなければいけなくなる。
身を隠すものが何一つ無い平原を歩くか、丸腰に等しい装備で険しい山道に挑むか…。
どちらを通っても私にとって厳しい道程になりそうだ。
追っ手に怯えて逃れる術を考えていた筈だが、その場で答えが出ないまま10分以上突っ立っていた。
私を捕まえにくる人がいるとすれば、苦労せずに捕まえられそうだ。
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