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ヨシオの表情が止まった。
「生理もこないし・・・。これって妊娠だよね?」
メグの声が頭に響く。
「そうねぇ。そうだと思うんだけど、やっぱり病院行かないと分かんないんじゃない?」
ヨシオは、なぜケイコがこんなにも呑気な答え方をしているのか理解出来なかった。
そう、ヨシオは理解出来なかった。
足元に花束が落ちた。
その音に、キッチンの二人は廊下を見る。
「あれ?今音がしたよね?」
「お父さんかしら?メグ、見てきてよ。」
「えー?・・・もう、しょうがないな・・・。」
メグがみた廊下には、花束が。
奥で、玄関の閉まる音。
花束を抱え上げ、メグはメッセージカードを見つけた。
「あれ?お父さんだ!」
ヨシオは走った。
相手は分かっている。
最近、ムクとメグがよく行く家の男だ。
息があがる。
だんだんスピードも落ちる。
それでも、ヨシオは走っていた。
メグが、メグが妊娠した・・・。
足がからんでこけそうになる。
ヨシオはたえた。
ヨシオは走った。
メグをこんな目にあわせたんだ・・・
その男・・・
「ブッ殺す!!!!」
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