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チャイムを鳴らすと数秒後、バタバタと音をたてて、その男が現れた。
どこにでもいる平凡なツラしやがって。
「あ、こ、こんにちは。・・・うおっ、リン、出て来んなって。」
このクソ餓鬼、うちと同じ種類の犬飼いやがって。
「あ、う、あの、メグちゃんのお父さんッスよね?」
お前に父さんと言われるおぼえはない!
走ってきたせいで、ヨシオの息はあがりっぱなし。
言葉も出ず、ただ、男を睨みつけ、ゼイゼイと肩で息をするのみ。
はたからみれば、般若の形相ではあはあ迫る、立派な脅迫ではあったが。
こんなヤツに、メグは、メグは・・・。
「あ、お父さん聞きました?妊娠の話。」
ヨシオは腕を振り上げた。
目の前の般若が殴りかかる体制、男、コウタは思わず目をつぶった。
「あ、れ・・・?」
パンチがこない。
コウタがおそるおそる目をあけた時、ヨシオは、泣いていた。
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