憩処

巡る巡る連鎖

僕は捨てられた。
なんでかは簡単。
僕が病気だから。
粗末な段ボールっていうのに"拾ってください"っていう字を書いて捨てられたんだって。
近くを通った野良猫のおじさんが教えてくれた。
だから皆は野良猫になったんだって。
でも、野良猫になる元気もない。
元気がないから捨てられちゃったんだ。
元気じゃないのに拾ってくれだなんてひどいね。
街頭っていうのがあるから暗くないから恐くない。
でも、お腹が減った。
あっ、もう少しで死んじゃうんだ。
忘れてた。
お医者さんには行ってないからわからない。
けど皆言っていたし、自分でも思う。
もうすぐだって。
…丸まってるとあったかいなぁ。
｢世知辛いねぇ。ホントに。｣
ん？
世知辛いってどういう意味だろ？
｢まだ小せぇなぁ。死んでんのか？｣
あっ、人間だ。
止めてよ。
つっ突かないで。
｢鳴いた鳴いた。お前ついてるな。昨日猫のテレビを見て無性に猫が欲しい。お前が反抗しなきゃ拾ってくぞ。｣
首を掴まれてお母さんに運ばれてみたい。
うーん、反抗しようにももうできないよ。
｢いやぁ、雑種でもいいぞ。ペットショップの猫は高くていけねぇ。｣
誰かに撫でられるのも久しぶりだな。
久しぶり。
｢おぉ、結構鳴くじゃねぇか。｣