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そう。
あれは、日差しが暑く蝉が
ミンミン、ミンミン、とやたらにうるさかった7月下旬まで
さかのぼる。
――――
「ただいま~♪美鶴~♪」
この日私は終業式が終わって、テンションが高かった。
なぜなら明日からとうとう待ちに待った夏休みだから。
「なに鼻うた歌ってんの?」
弟の美鶴(ミツル)の声で、ハッと我に返る。
「は、鼻うたなんて歌ってた?私」
「うん。思いっきし」
美鶴は、どことなく顔が引きつりながら言う。
こりゃ、まじだ……
きっと、嬉しさのあまり無意識に歌ってたんだな。
今後、気をつけないと。
家ならまだしも、道端で歌ってたら、笑えないし。
「そういえば姉ちゃん?」
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