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「わかったわ、話しを続けます……////」
彼が無表情で担任の顔をしばらく見つめていると
担任は微妙に頬を赤らめ、再び何事もなかったように
さっきしていた話しの続きを始めた。
すっ、すごい―…
ほんの何秒かのわずかな出来事だったが、私は呼吸をする暇もないほど、見入った。
謝らないでこんなに早く担任から逃れられたなんて……
きっと、自分だったら、無理な言い訳を作って結局、ガミガミと説教になっていただろう。
いや、普通の子はそうだ。
だが、私が見入っていたのは、その事ではなく、彼の存在感だった。
横からの角度でもわかるほど
力強い瞳。
意志がはっきりとした説得力がある声。
まったく動じない、冷静沈着な態度。
本を閉じてたった一言発した
だけなのに、ものすごく迫力があった。
それに加えて絵の世界から飛び出してきたような美しい美貌。
担任があれ以上なにも言えなくなってしまう、条件が見事に
出揃っている。
私、もしかしたら
とんでもない人と……
そう。
三城くんと呼ばれていた彼は、なんと隣の席の男子生徒だったんだ。
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