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――――
「お母さん!!」
「お母さん!!
どこに行くの??」
と必死に叫んでいる私。
大きな荷物を持って、どこかへ出掛けようとするお母さんに
大声で問いただしている。
「ちょっと、遠い所にね」
いつもと変わらない笑顔で答えるお母さん。
「遠い所!?」
「うん!」
「じゃあ、もう帰って来ないの??」
遠い所と聞いて、嫌な予感が走る―…
「ううん。
必ず帰って来るわよ。
だから、それまでお父さんと
美鶴と良い子にして待っててね」
そう言うと、お母さんは私をそっと抱き寄せ、頭を撫でてくれた。
優しい温もり……
「うん……」
わかった。みんなで待ってるからね。
絶対待ってるからね。
いつまでも待ってる。
なにがあっても待ってる。
「…………」
しかし……
てっきり、すぐ帰ってくると
ばかり思ってたのに
一体いつまで待たせる気だよ!
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