両思いストーカー

疑問

部屋の鍵だろう、と当たりを付けていた僕の予想とは異なった形状のものがカバンから持ち出されていて「ほえ？」と心の中で、疑問符を打った。

このマンションの鍵と言えば、ディンプルキー、つまり金属製のものであるのに対し、彼女の手に握られていたのは、一枚の紙片だったのである。

あの紙切れを鍵だと言い張るのは、いかな僕でも土台無理な話であり、あれは見紛うことなくただの紙切れである。

ではいったい何が書かれているのか、それは僕んぞが知る由もないわけで。

ではいったい何に使うのか、それも僕なんぞが知る由はないわけで。

頭に疑問符を浮かべた状態で彼女の行動を目で追っていると、新たな疑問符がポチンと頭に付与された。

「おやおや、そこは僕の部屋の扉ですよ」

某ぶらり途中なにがしのナレーション口調でツッコミを入れていると、彼女は更に謎めいた行動に打って出た。