待機

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頭の中では、今まさに差し込まれた紙片は恋文であると、勝手に結論付けていた。 その奥ゆかしい行動に心の中だけで賞賛の声をあげ、予期せぬ形での相思相愛の発見に身もだえる思いで満たされた。 それでも、この場で突然姿を現し、ご対面、と言うのは野暮にすぎる、そう考えて僕は陰から覗き見るスタイルを崩さなかった。 もしかすると、最近の覗き癖が体に染み付きすぎて、対人恐怖症予備軍ぐらいに位置しているのかもしれない。
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