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いずれにしろ、彼女の僕への愛の告白行動が完結し自室に戻るまで見守り続けることにした。
その意中の彼女はと言うと、差し込んだ恋文の、外にはみ出した部分に何かを書き足している最中であった。
僕への思いが溢れに溢れて抑えきれないのだろう。
推敲に推敲を重ねて書き終えたはずの恋文に、更に思いを乗せているのだろう。
そんなにも大きく深い思いの丈をぶつけられているのに、何も応えることが出来ないとしたら、僕は日本男児の風上にも置けない。
男子一生の恥である。
そんな無粋な真似は致しませんゆえ、どうかご安心を。
面と向かって伝えればいいはずの科白を僕は、やはり物陰から精神感応、いわゆるテレパシーでもって伝えようと試みていた。
気恥ずかしさと後ろめたさのなせる業である。
当然ではあるが、彼女はコチラの念を受け取ることなく黙々と溢れる思いを文字という手段でもって形に残している。
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