奇妙

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その後、気づかれない程度の距離感を保ちながら彼女の後を追った。 帰宅ラッシュの時間だったので気づかれる心配も殆どなさそうだった。 逆に彼女の姿を見失いそうな心配もあったが、それは無用だった。 何故かと問われれば、彼女の挙動が不振だったからだ。 誰かを探しているような風で、あたりをキョロキョロ見回して歩いていたのだから。 近くを歩く歩行者は、明らかに怪訝な表情を浮かべ、中には露骨ににらみつけたり暴言を吐く者までいた。 僕の彼女になんてことを言うんだ、妄想の中で勝手に付き合っているだけとは言え、自分の女を悪く言う奴は許せなかった。 その後も彼女の行動は落ち着きがなく、見ているこっちが不安になってくるほどだった。 大丈夫? どうしたの? 何かあった? そう心の中で問いかけながらも、距離は一定のまま後を追い続けた。
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