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駅から5分ほど歩いたところまで来ると、彼女の落ち着きは普段のものに変わってきていた。
ただ、どこか肩を落として歩いているような気はした。
なんだか今日はいつもと違うな、毎日のように彼女を見ている僕には、後ろ姿だけでその些細な違いを見抜けていた。
メインの通りから脇に入る生活道路に曲がった彼女の姿を見て、
「お、もうすぐ家が近いな」
という直感に加え、もう一つの喜ばしい驚きがあった。
僕の家の方角と全く一緒なのだ。
ここまで同じだったら、そう遠くはない所に住んでるんだろう、そう考えただけで色んな妄想が浮かび上がり、僕の頭はオーバーヒート気味になってしまった。
浮かれていた。
いわゆる健康男児の性的妄想を、海綿体の刺激をするには十分すぎる偶然だった。
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