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僕は自己紹介なんてものが一番嫌いだ。
名前にどれほどの意味があるか知らないが、そんなものだけでしか他人と区別できないのならいっそ区別なんかしなくていい。
僕の名前は藤島優羽(ふじしまゆう)
女の子みたいだってよく言われる。
つまり僕の名前は僕の性別すら表さない実にくだらないモノなのだ。
僕という人間を客観的に考察してみると、一言で事足りる存在だ。
『人間嫌い』
それが僕のパーソナリティ。
他人と話すのも触れ合うのも大嫌いだ。
たまに善人ぶって輪の中に引き込もうとする奴もいるけど、あいつらはわかっちゃいない。
無理やり入れられた輪の中で、入れられた側の人間がどんな仕打ちを受けるのか。
自己満足のために引き込んだのは、他人を攻撃せずにはいられない群集心理を満たす生け贄にするためだ。
そうして僕は群集に投げ込まれた。
数々の裏切りと暴力。
だから毎日思ってる。
僕は人間が嫌いだ。
僕は人間が大嫌いだ。
それが僕。
虚飾も見栄もない本当の藤島優羽。
ずっとそう思って生きてきた。
高3の夏に一羽の鴉と出逢うまでは…。
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