序章…『非情なる開戦』

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『開戦前日』 時間が止まったように錯覚するほど穏やかな午後、俺は針金に手を伸ばした。 特に理由があったわけじゃない。 たまたま視界に入った針金を、手持ちぶさたな両手に持たせただけの話。 そして昔ゲームかなにかで見たような気がする、という曖昧な記憶を引き出し、針金で人型を作りはじめた。 (こんなの作って…バカだな俺は) といいつつも、いざ作り始めると少し楽しい。 調子に乗って革紐で服まで拵える。 20分程で作り終えると、出来栄えを確認する。作り上げてみるとなかなか愛嬌のある姿だ。 『はは…くだらない。』 一人笑って人型をテーブルに置く。腰を上げて手洗いに向かおうと顔をあげる。 ……と。 『てめえで作っておいてくだらねぇとはなんだ❗』 威勢の良い声がテーブルあたりから聞こえる。 視線をテーブルに戻すと…
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