プロローグ -静・ジョースター-

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郊外に今は使われていない廃墟となった教会があった。 普段は誰も近付かない古ぼけた教会だ。 そこへスーツ姿の男が現れた。 男は周りに誰もいない事を確認すると教会の中へと入って行った。 「2分遅刻ね。」 声の先には静の姿があった。 「すまない。一応急いだんだが…」 男は静に謝った。 彼が静の上司、考古学部門総括部長ミッシェルだ。 「財団以外の人間が知っているとはどういう事だ?」 ミッシェルは周りを見渡しながら静に言った。 「それはこっちが聞きたいわ。財団で最重要秘密事項のはずよ? それが部外者が知っていて私が研究している事も知っていて襲われそうになったわ。」 静は若干怒り口調でミッシェルに言った。 「!…怪我は?」 ミッシェルが瞬間に静の方へ振り向き、様子を伺う。 「大丈夫よ。上手く撒いて来たわ。」 静が答えるとミッシェルは安心した様に1つため息をついた。 「しかし財団でもごく一部の人間しか知らない事をなぜ部外者が知っているのかしら? 財団に密告者でもいると言うの?」 静はミッシェルに伺った。 「それはないな。 財団は身元もそうだが昔からそういう事がない様、徹底管理されている。 口外は無用だが財団員全員がGPS管理されていて行動すらも逐一わかる様になっている。」 ミッシェルは渋った顔をしながら答えた。 「な!?は…初耳だわ。行動も? 思いっきりプライバシーの侵害じゃない!」 静は仰天しながら声を荒げた。 「そりゃ秘密事項だからな。それだけ徹底管理されていると言う事だ。 故に財団内で秘密を漏洩する者はいないと考えていい。」 ミッシェルは頭を掻きながら言った。 (…うまく交わされた様な…) 静は思ったが今はそれを言ってる場合ではない。 「全く見当がつかんな。」 ミッシェルが呟く。 「そいつは欠片がどういうモノかも知っている様子だったわ。」 静が思い出した様にミッシェルに伝える。 「!…君の研究報告書にあった欠片がもたらす作用の事も知っていると言うのか?」 ミッシェルは静に問いただした。 「…恐らく。」 静は一言答えた。 「…何か組織的なモノを感じるな…。」 ミッシェルは腕組みをして頭を悩ませた。
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