プロローグ -静・ジョースター-

4/14
前へ
/116ページ
次へ
「小さい頃はよくからかわれてたもんね。」 静は笑いながら付け足した。 「そんなんじゃねぇけど、50の割りには元気過ぎるんだよ。」 ジョシュアはため息混じりでそう答えた。 「大丈夫よ。最近じゃ髪の毛が薄くなって来て、リーゼントが出来ねぇなんて落ち込んでたわ。」 静はまたも笑いながらそう言った。 「白髪頭のリーゼントの何て今まで見た事もねぇよ。」 ジョシュアも苦笑気に言った。 「さ、そろそろ時間よ。送ってくわ。」 静はパンッと手を一叩きして出発の合図を入れた。 「しばらくは日本で生活か…」 ジョシュアは部屋を出る一歩手前で立ち止まり、振り向いて感慨深そうに部屋を見つめた。 「母さんの研究のせいでゴメンね。 ジョシュアを置いて行く訳にもいかないし、今回はいつ戻って来れるかわからないから…」 静も立ち止まり申し訳なさそうに言った。 「大丈夫だよ。クソババァ。」 一瞬間を置いて笑顔で振り向きジョシュアは言った。 「よし、出発!」 静も笑顔で片手を挙げ玄関へ向かった。 車に乗り空港へ向かう。 道中は他愛もない親子の会話。 今日はやや渋滞で空港には飛行機出発15分前と結構ギリギリだった。 「すぐ向かうから。」 静はそう言ってロビーでジョシュアを抱き寄せた。 「懇情の別れじゃあるまいし、大体気持ち悪いよ。」 ジョシュアは邪険に言った。 「1度空港でやってみたかったのよ。」 静は笑いながら言った。 「2~3日で行けると思うわ。仗助兄さんによろしく言うのよ。」 静は間髪入れずにそう言った。 「あぁ。」 とジョシュアは気のない返事で片手を挙げた。 「気を付けなさいよ。」 最後は母親らしい振る舞いでジョシュアの姿が見えなくなるまで見送った。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

156人が本棚に入れています
本棚に追加