プロローグ -静・ジョースター-

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「さてと…」 ジョシュアの姿が見えなくなったのを確認した静は振り返り車へと向かう。 車が置いてある駐車場の入口に差し掛かる辺りで、 「いい加減出て来なさい。」 静は突然立ち止まり、誰かに語り掛けた。 すると駐車場の柱の陰から1人の男がヌッと姿を現した。 「気付いていましたか…」 男は苦笑しながら静の前に立ちはだかる。 「家を出た時から気付いてたわ。」 静は警戒しながら、 「あなた何者?」 と付け足した。 「静・ジョースター、あなたには関係のない事です。」 男はふてぶてしくも丁寧な言葉使いで口を開く。 「財団の者…じゃないわね? 私に何の用?」 静は一歩引いて様子を伺う。 「…あなたの所持しているモノを渡して頂きたい。」 男は右手を差し出しながら答えた。 「?…所持しているモノ?」 静は首を傾げた。 「…あなたが研究しているモノですよ。」 男は付け足した。 「さて、何の事かしら? エジプトの新しいミイラ?それとも日本の埋蔵金の事かしら?」 男の言葉にピンと来た静はあえてとぼけてみせた。 「あなたが1人で研究しているあの『欠片』の事です。」 男は静がとぼけているのを知ってか知らずか真面目に答えた。 「あなた、アレが何だか知っているの?」 静は顔付きを変えた。 「もちろん知っています。私には必要であなたには不必要だという事もね。」 男はニヤッと笑みを浮かべた。 「…財団の秘密事項なのよ?何故あなたが知っている訳? もう一度聞くわ…。あなた何者?」 静は若干重心を低くした。 「財団は関係ありません。さて欠片を渡して頂きましょうか?」 男は一歩近付いた。 「残念だけど、そんな秘密事項のモノを私が持ち歩いてる訳ないでしょ?」 静は男から一歩引いた。 「…あなたは1人で研究を行っていた。他の研究員にバレてはいけない。故に家じゃないと研究出来なかったんじゃないですか?」 男は一歩一歩近付いて行く。 「…何故そんな事まで知っている?」 静は一歩一歩引き下がる。 「素直に渡せば何もしません。 渡して頂けない場合は多少手荒なマネをさせて頂きます。」 男はジリジリと静に近付いて行く。 「手荒なマネ?持ってないモノを渡せと言われても困るわね。」 静がそう言うと男は間髪入れず、 「ならばドコにあるか教えて頂きましょうか?」 と言い放った。
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