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慣れない光に目をそばめていると、ヴィさんは笑いを含んだような声で、
「どうだったかい?楽しめた?これが二人の少女のリストカットの話だよ」
と言いました。
私が何も答えられずにいると、かまわずヴィさんは続けます。
「今は二人のケースしか紹介しなかったけど、本当は他にも様々なケースがあるだろうね……ねぇ、それで」
そしてヴィさんは私の左腕を取り、引っくり返して私の傷痕をすうっとなぞりました。
「少年よ、君のはどんな理由なんだい?」
私は、そこでようやく静かに微笑んで言います。
「私も、貴女と同じ理由ですよ」
それを聞いた彼女は、それは、とてもとても面白そうに笑ったのでした。
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