人面犬

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「人面犬が見たい」 そんな先生の一言で、私はあてどなく人面犬を探し歩いているのです。 まったく、先生の突然の思い付きにも困ったものです。 しかも、人面犬と云えば、とうの昔に廃れてしまった都市伝説ではないですか。もし実在するにしても、絶滅していると考えてよい頃です。 まったく、先生は何を考えているのでしょうか。 私は仕方ありませんので、かつて都会であった所を歩いています。コンクリートの欠片はあちこちに散らばっていて、僅かな地面からは細々と雑草が生えています。 私はそこで、何度目かの溜め息を吐いて、側にあった瓦礫の山に座り込みました。 そして、誰にともなく話し掛けます。
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