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「例えば、人の記憶の中にしか存在しないモノがいたとしましょう。物でも者でもどちらにしろ……。そして、それはある日唐突に産まれます。そしてじわじわと生まれてゆきます。そしてじわじわと死んでゆきます。そういったモノの命と云うのは、一体全体何処に存在するのでしょう。一体全体何処に存在したのでしょう。例えば私が死んだとして、人の記憶に残る私は何なのでしょう。忘れ去られた私は何なのでしょう。忘れてしまいましたか?まだ憶えていますか?そこに在ったモノは何処へ行ったのですか?」
温い風に乗って、腐臭が漂ってきました。私は駆けるようにして、その臭いの元を探します。
「そもそも、在るというのはどういう事なのでしょうか」
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