人面犬

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私はビルの残骸の隙間を覗いて回ります。 「私は此処にいますか?貴方は此処にいましたか?一体何処なんでしょう。見えないのです、判らないのです!嗚呼、何処ですか!」 私はようやく眼前に茶色い物体を見付け、息を切らせながら立ち止まります。 「忘れ去られたモノは何処へ逝くのでしょうか」 私は踵を返し、先生の元へと帰ろうと決めました。 「見付からなかったと云ったら、先生は怒るでしょうか……?」 私が去った後には、コンクリートの灰色とまだらな緑に囲まれた、首のない犬の死骸が、じわじわと腐ってゆくのでしょう。
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