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場所は、世間から見放された様な場所でした。具体的に云うと寂れたビルの屋上です。さらに具体的に云うと――いいえ、止めておきましょう。これを読んだ方が、間違ってもここを探してしまわないように。 まあ、探して見付かるようなものでもありませんが。 私が屋上へと繋がる螺旋階段を昇りきりますと、そこには私の会うべき人がいらっしゃいました。 その人は、私を認識すると、黄金の髪を揺らして、気さくな調子で声をお掛けになられました。 「やあ、少年よ。お前があいつの所の助手かい?」 「はい」 「あいつから話は聞いているよ」 「お世話になります」 お辞儀をして顔を上げると、相手の右目に白い眼帯が当てられているのに気が付きました。他にもよく見ると、あちらこちらに包帯が巻かれていたり、傷痕が有ったりします。 先生の友人だと云って、名前はヴィだと名乗られました。
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