305人が本棚に入れています
本棚に追加
私は驚きました｡
｢そんな残酷なルールが？｣
他者による自己の認識は､自身のアイデンティティの形成に関わるものです｡それを突然取り上げてしまえば､すなわちその人自身のじわじわとした喪失を招くのではないでしょうか｡
そう､ヴィさんに云うと､ヴィさんは複雑そうな声色で､
｢お前は矢張りあいつの弟子なんだな｡そういう訳の解らない事をいう所がそっくりだ｣
今度は私が複雑な心境になる番でした｡私だって先生の言っていることは理解出来ないのに､その先生と一緒にされてしまうのはなんとなく嫌です｡
私とヴィさんがそのような事を喋っている間にも､少女はどんどんと暗く､落ち窪んだ表情になっていきました｡
そして彼女はますます孤独になっていきます｡
最初のコメントを投稿しよう！