プロローグ

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そして棗には妹が居る。それが美歌母の後ろでモジモジしている南風原紫苑(ハエバラ シオン)だ。その姿は性格以外は美歌の遺伝子を受け継いでいるとしか言い様がないだろう。棗の最愛の妹だ。勿論妹として。 「よう紫苑、元気してたか?」 なんとか脱出した棗ははにかんだ。 「うん!」 紫苑もまた、そう答えて笑った。それはもう某ハンバーガー店のスマイルなんて比べものにはならない程満面の笑顔だった。 「さっ帰って早速御飯の支度しなきゃね、今日はうんと奮発するわよぉ!」 と美歌母は張り切っている。 しかし… 「ところで帰りのバス何番だっけ?」 等と棗に尋ねる始末。 「はぁ~…」 大きな溜息を吐かざるを得ない棗だった。
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