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シオ「…これは…」
ユリア「どしたの??」
シオ「この絵……雷に打たれた人が描かれてる…」
ユリア「わ…ホントだ…」
二人は本を読み進めた。
『1507年7月20日』
…今日は非常に不可解なことが起きた。
朝は雲一つない快晴。風も無風に近く、とても過ごしやすい日だ。
私は朝から、村の見回りをするため外出した。
生活のための水を組む女性。その周りで遊ぶ子供たち。
朝から学校へ向かう少年少女。
この時代、刀で権力を握る争乱の世。
この乱れきった世すら感じさせない朝の空気。とても気持ちがいい。
村を巡回し始めて3時間…空は突然暗黒につつまれた。
闇を感じさせる黒に溢れた雲。
私がこの世に生まれて32年。このような気候は初めてであった。
不気味に轟く雷鳴。
子供の親たちは怯える子供を早々と我が家へと入れていった。
周りは徐々に静まり返っていき、朝のにぎやかな外が嘘のようだった。
行き交う人もいなくなっていった。
人の気配が消えていく中で私は村の見回りをしていると、学校帰りの一人の少年がこっちに向かってきた。そして私に話しかけた。
少年「いつもお仕事お疲れ様です。」
少年は一言私に話しかけ、その場を去っていった。
雷鳴が途端に大きくなった。
遠くの空では雷がいくつか落ちている。
すると1本の光の線(雷)が雲をスルスルとつたっていき、さっきの少年の真上で動きを止めた。
私はあの雷が少年を狙っているように見えた。
数秒後、悲劇が起きた。
雷が落ち、少年に命中したのだ。
私はとっさに少年の元へと駆け出した。
雷に打たれ、もがき苦しむ少年。私は少年の近くにきたものの、なにもすることができなかった。
すると少年を包みこむような雷は光の強さを増していった。そして…
バチン!!
爆破のような大きな音が響いた。
見るとさっきまで確かにいた少年が跡形もなく消えてなくなっていた。少年は何処へ…
私は仕事をしたあと、この不可解な出来事を絵にしてみた。
雷に打たれて苦しむ少年。
私はなにもできなかったことをその夜後悔した。
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