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「……この作者が言いたいことはーー……」
カツン、チョークの音が教室中に響いて。
辺りを見渡せば寝てる人が多い。
ふっと小さく息を吐いて、呟いた声は誰にも届かない。
「フォン・アルフィア」
意味はーー……
きーんこーんかーんこーん。
間抜けに響く音を聞いて立ち上がる。
「白野くんっ」
「……黒川さん。」
そのまま帰ろうとした僕の前に立ちはだかり、ニヤリと笑う黒川 友香。
人はそれを可愛いと言うが、僕はそうは思わない。こいつは悪魔だ。実質的に、本物の。
この世界には、魔法なんか存在しないという。
それは一種の思い込みみたいなもので……呪いの類だ。
見る人が見れば魔法なんか日常茶飯事だし、悪魔だの天使だの獣人だの、ごろごろいるわけで。
「付き合いなさいよね。"マスター"?」
不本意ながら、僕も魔法使いと呼ばれる立場にいる。
ため息一つ、飲み込んで。鞄を掴んで歩き出した。
目的地は部室。四階の東校舎のはじっこ。多目的室だ。
フォン・アルフィア。
退屈な時間はおしまいさ。
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