スカイ……[短]

4/4
前へ
/22ページ
次へ
 笑みを浮かべたまま答えた僕に、ユメちゃんは目を伏せた。  金の髪の下から、白い翼が生える。  この子は天使見習いだったんだね。  ユメちゃんが手を広げると、青い世界が広がった。 「うわっ……!」  いろんな匂いを感じた。  あったかい。 「これが、本物の空」  いつの間にか握られていた、僕のスケッチブックをめくりながら、ユメちゃんは言った。 「これが……空。僕の名前と、同じ……」 「君たちは空。今一つになった」  ゆっくり手を広げた。  とても気持ちが良い。 「僕は……空。空に、本物になった」 「ほぉら、行こうよ」  ユメちゃんの手をとって、僕らは飛び回った。  空を高く高く高く…… 「おやすみ、空くん?」  赤目を光らせて、鎌が振るわれた。  遠くで僕を呼ぶ声がした。  空は僕、僕は空。  世界を包むのは、僕。 「よい夢を、幼い魂さん?」  "死神"見習いは、ふんわり笑った。 >>スカイ-end-
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加