健常者との結婚

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私はその後店に到着すると優樹菜と穂乃佳に遅くなってゴメンと伝えてここに来るまでの出来事を話していた。すると優樹菜が「しーちゃんその人かっこよかった?」と聞いて来た。優樹菜も穂乃佳も既婚者である。優樹菜は私を心配して言ってくれたのだがすれ違い際チラッとしか見て居ない相手を「かっこよかった?」と聞かれても余り覚えてないのが事実だった。私は苦笑いをして軽く頷いた。すると第一号のお客さんが店に訪れた。その人は先程ぶつかった男性に何処となく似ていた。男性は詩央里に近付き「先程はすみませんでした。」と詩央里に頭を下げた。するとそれを見ていた優樹菜が男性の肩を叩き「すみません。詩央里耳が聞こえないんです。私が通訳しますのでお話下さい。」と言ったので男はもう一度「先程はすみませんでした。」と言うと詩央里も「こちらこそすみませんでした。」と頭を下げた。彼の名前は井ノ口将弥さん。誰もが知っている井ノ口商社の社長の息子だった。彼は父が引いたレールの上を歩かずイラストレーターとして活躍する一方で子供たちに絵を教える「マーサー」という絵画教室を開いていた。彼は「出会ったばかりで悪いのだがこれからチョクチョク来て良いか?」と詩央里に訪ねた。詩央里は驚いた様子だったが軽く頷いた。
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