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と、また旦那が感慨深げに呟いた。
あの雨の日も、旦那と言葉を交わした瞬間に、厚塗りの雲が嘘のように消え失せて、満天の星空が見えたんだっけ。
俺がまたふと過去を思い出していると、旦那の視線がこちらにじっと向けられている
のに気づく。
俺がどしたの?と聞くより先に、旦那が声をあげた。
「佐助」
「んー? …!」
くい、と首を傾けた瞬間に触れる唇。
普段此方から迫っても破廉恥!とか云って簡単には取り合ってくれない旦那だけに、今のはかなり予想外な行動だった。
「…珍しいじゃん、旦那の方からしてくるなんて」
「ここここ、これは!佐助の帰還への餞別だ!べ、別に深い意味など無いっ」
「へーえ、そりゃーどうも」
赤い顔させて捲くし立てる旦那に、先程の逆襲を考えた俺は少しずつ旦那に迫って行く。
勿論極限の笑みを貼り付けて。
「な、何だ佐助?!」
「あれ?今のは そ う い う 合図だとお見受けしたんだけども」
じわりじわり、と後退して行く旦那を追いかける先には。
「ま、待て!早まるな佐助!某、まだ心の準備が! それにお主、まだまともに動けぬ身体だろう!」
「まあまあ、旦那は俺様の事は気にしなくていいからさ。 そこに丁度布団あるし」
「さ、佐助ええええええええっ!」
(以下中略…って、さすがにこの先は云えないでしょ★)
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