408人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふふ」
誰かの笑い声が聞こえた。女の子の声だ。
こんな電車の雑踏の中なのに、何故かその声は僕の鼓膜を経由して能までよく響いてきた。
「ああ、ごめんね。君があんまり必死だったもんだから。」
声の主は、僕のすぐ見下ろした所の席に座っていた。
「…いえ。」
僕は息を飲んだ。
そこに座っていた少女を一言で言えば“白”。
白というのは、本当に白なのだ。つまり、肌が。
目は少し青い。
髪は黒いけど、たぶん染めているのだろう。
パッと見た感じは変だけど、よく見ると白い肌に黒い髪はとても綺麗で、しかしそのせいで少し近寄り難い。
つまるところ、この少女はどこから見ても“外人さん”だったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!