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「同じ学校だよね?一年?」
外人にしては、流暢な日本語を話す少女だった。
「はい。」
緊張しているからか、上手く喋ることができない。
なんで緊張してるのかもわからなかった。
「じゃあ今日、入学式じゃん!もしかして、今から緊張してる?」
緊張してるのがバレた。
本来、入学式くらいじゃ緊張しない。
今緊張しているのは、間違いなく目の前のこの少女のせいなのに。
そんなことを考えていると、再び少女は口を開いた。
「どーせ校長と来賓の話聞いて、校歌と国歌で終わりなんだからさ。そんな緊張しなくていいよ。」
少女は親切だ。
僕が入学式に対して緊張していると思い込んでいるから、当たり前の意見を述べてくる。
でもそんなこと、自分でもわかっていた。
「ああ、それと。」
まだ何か話すつもりらしい少女は、声を潜めて微笑んだ。
その笑みがとても綺麗で、思わず見とれてしまった。
「もう二つ早いの乗った方がいいよ。」
顔に見とれていたので、頭の中にクエスチョンマークが浮かんだ。
きょとんとしたのを見た少女は、もどかしい感じでもう一度言ってきた。
「だから、電車!もう二つ早いのに乗れば面白いものが見れるんだってば。」
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