2/2

42人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
悪名高い、偏差値最低最悪、カツアゲ万引き喧嘩なんてしょっちゅう。 そんな学校の名は西織男子高校。 おれはそこの3年生。 今日も電車に揺られて通学中。ちなみに、遅刻上等。 まぁいっか。どうせほとんどの生徒が遅刻だろう。 「蓮ちゃん学校大丈夫なの?」 「平気っす!この時間、変な人多いから、心配なんです」 「心配しなくてもいいのに。痴漢なんかあたしに寄ってこないよ」 「駄目っすよ!!夏子さん、そいうこと言ってると本当に寄ってきちゃうよ!?」 ・・・・・・。 いいなぁ・・・。 多分あいつ、学校一緒だ。 その隣の子は東山女子高の女の子。 いいなぁ・・・。マジ羨ましい。 彼女が欲しいとか、そーゆーんじゃなくて、好きな人と登下校とか、羨ましい。 中学の時とかは頻繁に彼女が出来てたけど、好きだったかって聞かれたらそうでもなかったかもしれない。 高校入ってからめっきり減ったけど。なにせ男子高だし、悪名高いやつばっかがいるし。 それはそれで気楽だった。女の買い物に無駄な時間を費やさなくて済むし、奢らなくて済むし。 って、おれ、結構最低? 西織駅の一つ手前、東山駅でさっきの二人が降りて行った。それと入れ替わるように人がドワッとなだれ込んできた。 『あ・・・』 その人混みの中に、あの女の人がいた。シルバーシートの前に立つと、吊革に捕まった。 『やっぱ、きれい・・・』 前髪を黒ピンで止めて長い髪を腰まで流して、春色のシャツを着て。 大学生かな・・・?私服の高校?私立高校はさっきの東山駅のとこには一つしかないし、西織も一つしかない。もっと先に行くのかな? じっと見つめていると、女の人がピクリと動いた。 うつ向いて鞄を抱き締めている。 気分でも悪いのだろうか。 近付こうとすると、西織駅についてしまった。 あの人、この時間の電車に乗るんだ。 電車から降りて学校に向かう。 あの人が気になったが、電車は扉を閉めて走って行った。 『○月△日×曜日 今日はあの女の人が東山えきからのってきた。すこしきぶんがわるそうだった。早くなおってほしいです。』 「じーさん」 「んー?」 「・・・胸が苦しいんだ」 「「若!!大丈夫ですか!!?」」
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加