序章

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風が髪を揺らした。 フェリシアの黄金の髪が滝のようにうねる。 「──姫様。濡れている髪で風に当たりますと風邪引いてしまいますわ」 侍女の声に姫──フェリシアはゆっくりと振り返った。 「今日は遠くまでよく見渡せるのよ。 空は高くて──城下町の声もよく届いてくるの」 フェリシアは天使の笑み、と例えられる笑顔で侍女に答えた。 そうですか、と侍女は目を細めて笑い。 さぁお着替えをしましょう、とフェリシアに声を掛けた。 促されて頷き、鏡台の前に座る。
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