第1章

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「……っ」 フェリシアは締め付けられるコルセットの痛みに耐えていた。 「まだまだですわよ、姫様」 侍女は更に力を込めてフェリシアを締め付ける。 「も……いいわ。限界……」 息が絶えそうになり小さく喘いだ。 そんなフェリシアを見て侍女は手を止めた。 「でも姫様、ご結婚される迄にはもう少し頑張りませんと」 やっと自由に息が吸えるようになってフェリシアは侍女にそうだけど、と笑い掛ける。 半年後、フェリシアは隣国ダイルフォースに嫁入りすることが決まっている。 まだ顔も見たこともない婚約者。 ダイルフォースにはふたりの王子がいてどちらかを選ぶのはフェリシアに委ねられていた。
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