プロローグ~旅の始まり~

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そして今に至る。 ルトはその事実を、 つい最近おじいさんとおばあさんの 2人の口から聞き知ったのだった。 「もうお前も大人になった わしらのような年寄りと一緒にいずに、 お前はお前の人生を歩んでゆけ それが、わしらの 願いじゃよ」 おばあさんは優しく、 自分よりも背の高いルトの頭を撫で、 抱きしめた。 「お前は立派な血筋を持っています それを絶やしてはいけない お前は最後の1人 その為に、 重い苦や、拭いきれない闇が襲い来るだろうが、 決して諦めてはいけません 今こそ、その運命に立ち向かう時です」 おばあさんは 抱きしめていた腕を放し、 涙を拭いた。 「…ばあさんや、 ルトに、あの言葉を教えてやろう」 優しく、なだめるようにおばあさんに囁いたおじいさん。 おばあさんは、 そうね、 と一言呟いた。 おじいさんが口を開いた。 「ルト、1度しか言わんから よく聞いておくのだぞ これは、 大事な人を助けたいとき、 大事な何かを守りたいときに言う、 魔法の言葉じゃ お前にわしらからこの言葉を お守りとして、 授けよう」 ルトはこくんと頷いた。 そして 「「フタア・イア・ノフシーヤ」」 まるで 天使の囁きでも聞いているかのような、 美しい響きと語調をはらんでいた。 ルトは溢れそうになる涙を 片手でごしっと拭うと、 深々と頭を下げ、出て行った。 .
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