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「しぶとさだけは、どこぞの黒ムシ以上だな」
心底面倒臭そうに、少年は人のカタチを取りつつあるソレに吐き捨てる。
「……でやる……うら……ぞ」
その言葉に成り切らない声は、ソレから発せられていた。ソレは気配を未だ残す『彼』であった炭がカタチを取ったモノだ。やがて彼らしき人影のような形状に落ち着くと、今度ははっきりとした声で少年に告げた。
「恨んでやる……貴様と血の連なる者、貴様と関わる者全て呪ってやる!この儂(ワシ)を殺した事を……その身を以って悔やみ思い知るがいい!!」
言い終えると同時、顔の辺りに相当するだろう位置に、彼の黄色く濁った瞳が生前の色そのままに見開かれた。だがそれ以上生前の彼を思わせる肉体の再構築は為らず、瞳だけが爛々(ランラン)と少年を睨みつけている。
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