季節の目覚め

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一希は相変わらず、毎日あたしの背中をツンツン突っついて話しかける。 かなり…ウザい。 振り返って 「何で突っつくの?」 「ヒマだから」 …即答 あたしはヒマ潰しの道具なのだろうか? 「仲いいじゃん」 そう言ったのは隣の席に座っている「まなみ」という子だった。 まなみは女の子なのに自分の事を「オレ」と呼ぶ少し変わった子で、何をするのにも一緒に行動していた中学生の頃からの親友だった。 運良くお隣さんになれた。 「あはは」 勘違いだってば! あたしは恥ずかしくて笑うしかなかったよ。 同じように繰り返す毎日、自然に一希とまなみとあたしの三角形での会話が増えてきていたね。 気付かないうちに、本当に自然に、君の近くに居たんだよ 何故かな… 何だかワクワクして… 「まなちゃん一希の家に一緒に遊びに行ってみようか?」 特別な意味は、なかったんだよ… 君は友達と呼べる存在になっていたし、一緒に居て楽しそうだったから… まなみはすぐに 「オレは行ってもいいよ」 と、いつもの調子で(笑) 彼女もおそらくはあたしと同じような感覚だったのだろう 「ねぇ一希、まなちゃんと一緒に家に遊びに行ってもいい?」 君は少し考えて… 「俺の家知ってんの?」 もちろん知ってるはずがない 「知らないから教えて」 彼の家を教えてもらって、週末に遊ぶ約束をした。 なんだか、すごく楽しみ。早く週末にならないかな… あの頃のあたしは、ただ楽しい時間を過ごしたかっただけなんだ… 君と出逢ってから三ヶ月が過ぎていた。 窓の外は既に暑い日射しが照りつけていて まるで季節の目覚めに呼び起こされるように… 私達は静かに走り始めていた
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