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自称監督は榊と名乗った。
そして今年から高島高校野球部を受け持つという事も。自称ではなく、監督だったのだ!
「自己紹介をしよう。キャプテンから頼む」
そう言いつつも監督は相川を見つめていた。促された相川はみんなを一度だけぐるりと見渡すと自己紹介を始める。
「キャプテンでセンターの相川朱弥です」
やや緊張した面持ちの相川は俺に視線をよこす。
俺は口を開いた。
「副キャプテンでショートの兎田みどりです。よく、「うさだ」って言われますが「うだ」です」
俺は正直言ってこの苗字も名前も嫌いだった。みどりなんて女っぽいし、兎田は「うさぎだ」とも読むため、よく「うさぎ」なんて呼ばれていたからだ。それならまだイイ。
「うさだー!」
「うだ、だ!」
たった一人、俺をうさだなんて呼ぶ奴がいる。俺の隣にいる阿保だ。
「ピッチャーの八幡水色です!うさだと仲良しです!」
「自分でいうなよ」
笠井に及ぶ阿保さ。テンションの高さ。でも八幡と俺は本当に仲が良かった。
「へぇ、ピッチャー。何キロぐらいでるの?」
監督が「ピッチャー」に興味を持ったように目を輝かせた。
「マックスで135!」
「球種は?」
「ストレートと、カーブ」
そこで監督はみんなを見た。
「八幡のキャッチャーは?」
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