Hajimemashite、

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「はい。キャッチャーをしてる、若狹紺です」 若狹が手をあげた。若狹は、八幡なんかにはもったいないようなイイキャッチャーで(もったいないとは決して八幡がダメな投手だと言うわけではない。人間的に、だ)頭はキレるし、なにより冷静なのだ。 ただ、冷静過ぎて逆にさめてしまう事もあるみたい、らしい。 八幡が言っていた。 「八幡を説明してみせてくれ」 監督は若狹に告げた。 すると急にみんなの空気が変わった。脱力するように、けど、空気がピシリとする。 ダメだよ。監督。若狹にそんな事言ったら。 若狹は監督に向き直る。そしてぐっと拳を握りしめて、 「監督!八幡はですね、球の速度は甲子園ではよくあるようなスピードですが県内では屈指の速球投手なんです!マックスは135キロって言いましたがこいつは一年の時は120キロ、二年では135キロって15キロもアップしていて、冬の筋トレでさらに上がっているはずなんです!俺は本当にこいつの投手で良かったー!」 ばっと大の字にように体を広げて叫ぶと再び熱く若狹は語る。 「それでですね、八幡はただの速球派ではなくて、手元でのびるストレートが決め球です。手首のスナップの関係で、打者には急に早く感じる球なんです!俺が中学校三年の時にこいつと決勝であたって、いらい、こいつの球に…」 監督は勢いに押されつつも話に聴き入る。  
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