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枕が違うせいで、早くに目が覚めた。 まだ時計は5時を少し過ぎたくらい。 1月の冷えた空気が部屋を包んで、床に足を降ろすのを躊躇う位だった。 空は少し白んでいて、一番空気が澄んだ時間。 早起きするのは久しぶりだった。 うっすらと部屋が輪郭を取り戻し始め、肉眼でしっかりと捉えられた。 ラブホテルの間取りなんて大概どこも変わらない。 ほら、バスルームが見えた。 布団一枚は流石に冷える。 バスルームに行き、シャワーを浴びた。冷えた体がだんだん体温を取り戻した。 タオルなんてどこにあるかもわかんない。まぁ、何とかなる… バスルームから出るとまだ寝ている彼が目に入った。 寝起きが悪い… 出来るなら、起こしたくない。 タオルを見つけて体を拭いて、なるだけ暖かい格好をしてベランダに出た。 外で見えたのは、沼津のIC。 息を吐けば白く大気を舞い、消えていく。 10分くらい外を眺めて、部屋へ戻った。 行く先は1つ。 彼がいるベッド。 2人で繰り返した情事の後はベッドだって乱れてる。 そんなことは関係なかった。 山梨と大阪。 離れた分、側に居たかった。 だから関係なかった。 乱れた髪に布団から出た足、うつ伏せの体。 全てが愛しかった… 彼を起こさないようにそぉっと布団に入った。 ベッドに肘を着いた時、あたしの体は反転して彼越しに天井を見ていた。 切れ長の目であたしを捕らえ、首筋に顔を埋める。 もうすぐ三十路の男が、女子高生だったあたしに自分の痕を付ける。 独占欲とか束縛とか…彼の為にある言葉だと思った。 ゆっくりとあたしの服を脱がし、裸のあたしを太い腕で閉じ込める。 あたしの髪に鼻を押し付けた。 同じシャンプーに、同じボディソープ… 同じ匂いが、体に染み付くように。
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